フォーラムについて
活動内容
交流広場・談話室
会員情報・入会案内
規約
役員一覧
問い合わせ先

トップページ > 交流広場・談話室 > 「環境シンポジウム:人と植物〜環境再生をめざして」から

交流広場・談話室

「環境シンポジウム:人と植物〜環境再生をめざして」から

事務局 川里弘孝
 去る2006年6月28日(土)13;30から、県立美術館ホールにおいて、NHK長崎放送局主催の、池田(本会顧問)、隈(県立美術館設計者)、伊藤(県立美術館長;コーディネーター)の3氏によるシンポジウムがあった。
 池田先生の話は、「海岸線はいわば自然の生命線である」ことを念頭に、針尾埋立地の再生を考えた(ハウステンボス:HTB)。それには、まず生態系の完成を目指して森づくりからはじめることとして、敷地内に40万本の樹木を植栽した。その結果、HTB完成後10年経つが、今ではコムラサキやハヤブサなどの生息が見られる、森となった。自然を回復するのに1,050億円かかった。という趣旨であった。
 隈氏は、もともと外部空間と内部空間をつなげる役目と思っていたが、池田先生とお付き合いするようになって、さらに建築体として呼吸する仕掛けを考えた。特に水をみながら楽しむ空間づくりを目指した。つまり自然と建築との溶け合いを考えた。たとえば安藤広重の浮世絵の世界、万里の長城、ゴッホの絵画にその兆候をみることができる。最近では、下関の土塀(日干しレンガ積み上げ;40〜50cm)に魅せられている。との談話があった。
 主な質疑応答では、問;再生するのであれば無理に埋め立てなどはしなくて良いのではないか?(答;それはそれとして、自然復元には時間をかけなければならないこと強調したい。人間以外の生き物を大事にすることが必要。自然の素材は素晴しい、自然呼吸ができる茅葺・土壁などの伝統文化〜古い知恵、への見直しが必要ではないか。時間の考え方、物を大事に使う姿勢が必要ではないか)、問;何処まで再生したら再生と言えるか?(答;六本木のビルの経験から自然共生の道へのめりこんだが、人間以外の生物を大切にするという、近代合理主義(目先)と違う東洋文化(哲学) を作り上げることが重要。日本の大工は高いレベルにあるといわれる。自然との折り合いがついた時点が、共生・再生のゴールだと思う。) 問;地球規模の環境変化をどう受け止めるか?環教観をお聞かせ願う。(答;南米のハチドリの話がある。自分に出来ることは何か、考え実践する。これしかないという環境観・人生観を持つことだと思う〜池田。 自分は個人の努力と全体の努力のつなぎ役になることだと思っている〜隈。)、など演者とのやり取りがあった。
 (感想) 武邦先生は齢(よわい)82と仰っておられた。発想力、考え方にいささかの衰えもない。何とすばらしいことだろう。ハヤブサは高層ビルの大都市 (ニューヨーク市) で元気に暮らす例もあって一概には言えないが、根幹となる植物的自然が復元・再生していることには間違いない。申し込み入場の会場には長崎大の斉藤学長、総科大の林学長のほか、一般市民、本会の宮原会長、鈴木監事の顔も見えた。

News Letter第4号より抜粋

▲このページの先頭へ